画家エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン。今回は、生い立ちや絵の特徴をまとめてみました。それではいってみましょう。
エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの生い立ちとは?
エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランは、1755年にフランス・パリで生まれました。絵描きだった父親から幼い頃に絵の基礎を学んだ彼女は、当時としてはとても珍しい女性画家としての道を歩みます。
まだ子供だった頃からその才能は周囲を驚かせ、12歳にしてプロの肖像画家に匹敵する腕前だったといいます。
父の死後、家計を支えるために若くして肖像画を描いて生計を立てるようになり、やがてその技術と美的感覚は上流階級の間で評判に。特に彼女が20代の頃に描いた貴婦人たちの肖像画は、上品で洗練されていて「まるで魂まで写し取るようだ」と称されました。
彼女の転機となったのは、王妃マリー・アントワネットとの出会いでした。この王妃の肖像画を何点も手がけたことで、一気に宮廷画家としての名声を得ます。ヴィジェ=ルブランはその後、フランス革命の影響を受けて各国を渡り歩きながらも、画家として確固たる地位を築きました。
エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの絵とは?
彼女の描く絵といえば、やはり肖像画。なかでもマリー・アントワネットを描いた一連の作品は有名で、王妃の威厳と優雅さをそのままキャンバスに封じ込めたような表現が魅力です。
絵の中のアントワネットは、ただの歴史上の人物というよりも、ひとりの「生きた女性」として浮かび上がってきます。
また、母としての自分を描いた自画像にも注目すべきものがあります。娘と一緒に描かれたその絵は、家庭的で温かく、当時の「画家=男性」という固定観念をやさしく崩していく力を持っていました。
彼女の絵は、豪華なドレスやレースの質感、ジュエリーの光沢など、細部まで描き込まれており、当時の貴族社会の華やかさを感じさせてくれます。それでいて、どこか親しみやすさがあり、モデルの人柄や内面までが伝わってくるような気がします。
エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの絵の特徴とは?
ヴィジェ=ルブランの絵の大きな特徴は、やはり「感情の柔らかさ」だと思います。目元の表情、口元のゆるやかなカーブ、そっと添えられた手のしぐさ――それらがすべて合わさって、見る者に「この人は、こんな気持ちでこの瞬間を生きていたんだな」と思わせてくれるのです。
色彩感覚も彼女独自のものがあります。単に派手な色を並べるのではなく、肌の色、背景の布地、アクセサリーの輝きが調和するように配置されています。特に淡いブルーやローズカラーの使い方は、彼女ならではの繊細さを感じさせてくれます。
もうひとつのポイントは「自然体の美しさ」です。ポーズがかしこまっていない。モデルがまるでそのまま会話をしているような、そんな雰囲気を持っているのです。
女性を美しく見せる技法に長けていただけでなく、心の奥にある強さや優しさまで、丁寧にすくい上げて描いたのだと思います。
最後に
エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランは、歴史の中でしばしば見落とされがちな「女性芸術家」の先駆けともいえる存在です。その生涯は、女性であることの困難と、それを乗り越える力の象徴のようにも思えます。
彼女の絵を見ていると、300年近く前の女性たちの思いや姿が、今でもしっかりと伝わってきます。人の心を描くというのは、時代を超える表現なのだなと、しみじみ感じました。
自分ももし肖像画を描かれるなら、こんなふうに「自分らしさ」をそのまま残してくれる画家にお願いしたい。そんなふうに思わせてくれる、優しさと気品に満ちた絵画たちでした。
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