画家エミール・フィラの生い立ちと絵に迫ります

ふ行

 
 
私は美術館や画集を眺めていると、なぜか言葉にならない圧を感じる絵に出会うことがあります。決して派手ではないのに、こちらの心の奥をぐっとつかんで離さない。そんな体験を何度もくり返してきました。

その中でも、後からじわじわと存在感を増してくる画家がいます。それがチェコ近代美術を代表する画家、エミール・フィラです。正直に言うと、最初は名前も読みづらく、日本ではそれほど知られていない印象でした。

でも、彼の絵を知り、生い立ちを追っていくうちに、私は強く引き寄せられていきました。車椅子ユーザーの素人ブロガーである私にとって、美術は特別な専門分野ではありません。

それでも、自分の人生と重ねながら感じたことを、できるだけわかりやすく言葉にしたい。そんな気持ちで、今回はエミール・フィラの世界を書いてみようと思います。

 

 

エミール・フィラの生い立ちとは?

 

エミール・フィラは1882年、現在のチェコにあたる地域で生まれました。当時はオーストリア=ハンガリー帝国の時代で、国としてのチェコはまだ存在していません。幼い頃から芸術に関心を示した彼は、プラハ美術アカデミーで本格的に絵を学びます。

ただし、そこで教えられる伝統的な絵画教育に、彼は次第に違和感を覚えるようになります。フィラは若い頃から、新しい表現を強く求める性格だったようです。保守的な価値観に従うよりも、自分の目で世界を捉え直したい。

その姿勢は、後の作風にもはっきりと表れています。20世紀初頭、彼はパリの前衛芸術に大きな影響を受けます。特にキュビスムの衝撃は大きく、物の形を分解し、再構築するという考え方は、彼の中で深く根を下ろしました。

チェコに戻った後も、彼は仲間たちとともに前衛的な芸術運動を推進し、国内の美術界に新しい風を吹き込みます。しかし、彼の人生は決して順風満帆ではありませんでした。

ナチス・ドイツによる占領下では、前衛芸術家として危険視され、強制収容所に送られるという過酷な経験もしています。その極限状態を生き延びた彼の人生は、絵の中に重く、そして静かに刻み込まれているように、私には感じられます。

 

エミール・フィラの絵とは?

 

エミール・フィラの絵を一言で表すのは難しいですが、私が最初に感じたのは、力強さと知性の同居でした。静物画や人物画が多いものの、そこに描かれているのは単なる物や人ではありません。形は大胆に崩され、角ばり、重なり合い、見る側に強い緊張感を与えます。

キュビスムの影響を受けながらも、フィラの絵には独特の重みがあります。色彩は抑えめで、落ち着いた茶や灰色、深い青などが多く使われています。そのため、派手さはありませんが、逆に絵の構造や構成が際立ちます。

私は彼の静物画を見たとき、不思議な感覚にとらわれました。瓶や果物、楽器といった身近なモチーフなのに、まるで彫刻のような存在感があるのです。平面の絵でありながら、重さや硬さ、冷たさまで伝わってくるようで、思わず長い時間、見入ってしまいました。

 

エミール・フィラの絵の特徴とは?

 

エミール・フィラの絵の特徴として、まず挙げられるのは構造の強さです。画面全体が計算され尽くしており、どこを切り取っても崩れない安定感があります。それは感覚だけで描いているのではなく、知的な思考を重ねた結果だと感じます。

次に、感情を直接ぶつけるのではなく、形や構成を通して内面を表現している点も大きな特徴です。激しい色や誇張された表情に頼らず、あくまで物の配置や線の緊張感によって、見る者の心を揺さぶります。

また、フィラの絵には、時代の重さがにじんでいます。戦争や抑圧を経験した画家ならではの、静かな抵抗や、人間存在への問いかけが感じられます。私はそこに、派手な言葉ではなく、黙って耐え続けた人の強さを見ました。

車椅子で生活している私自身、思うようにならない現実と向き合うことがあります。だからこそ、声高に主張せず、それでも確かに伝わってくるフィラの表現に、深く共感してしまうのだと思います。

 

最後に

 

エミール・フィラは、日本では決して有名な画家とは言えません。しかし、その絵と人生を知るほどに、私はこの画家をもっと多くの人に知ってほしいと感じました。派手さはないけれど、確かな強度を持った絵。困難な時代を生き抜いた人間の、静かな誇りがそこにはあります。

私自身、専門的な知識を持つ美術評論家ではありません。ただ、一人の生活者として、一人の鑑賞者として、フィラの絵に心を動かされました。もしこの記事をきっかけに、少しでも彼の作品に興味を持ってもらえたなら、これ以上うれしいことはありません。

美術は、知識がなくても楽しめるものだと私は思っています。感じたことを大切にしながら、自分なりの視点で絵と向き合う。その入り口として、エミール・フィラという画家は、とても深く、味わいのある存在です。
 
 
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