ニコラ・ド・スタールの生涯と絵に触れると見えてくる静かな情熱

と行

 
 
絵をじっと見つめていると、心の奥にそっと触れてくるような時間があります。僕がニコラ・ド・スタールの作品に出会ったのは、何気なく眺めていた画集の一枚でした。

力強い色面の重なりの中に、人の気配や静かな思いがひっそり息づいているようで、思わずページをめくる手が止まりました。どこか寂しさも温かさも抱えたその絵に引き寄せられ、彼の生涯を調べてみると、背景には深い孤独と情熱がありました。

今回は、そんなニコラ・ド・スタールの生い立ちや絵の魅力を、自分なりの言葉でまとめてみたいと思います。僕のような素人ブロガーでも感じられた彼の世界を、そのまま素直に書いていきます。

 

 

ニコラ・ド・スタールの生い立ちとは?

 

ニコラ・ド・スタールは一九一四年にロシアで生まれましたが、幼い頃から平穏とは言えない人生を歩むことになります。革命の影響で家族と離れ離れになり、やがて両親を失ってしまうという悲しい経験も背負っています。

そんな環境の中でも、彼は絵を描くことで心の置き場所を作っていったように感じます。祖国を離れながら生きていく中で、フランスや北アフリカなどを転々とし、そこで見た光や風景が後の作風に影響したとも言われています。

温かい色や激しい色を重ね合わせる力強い表現の裏側には、幼少期から抱えてきた孤独と、世界を自分の目で確かめようとする強い意志があったように思えてなりません。自分の居場所を探すように絵と向き合う彼の姿が、作品の端々から静かに伝わってきます。

 

ニコラ・ド・スタールの絵とは?

 

ニコラ・ド・スタールの絵は、一見すると抽象的で、形が崩れているようにも見えます。しかし長く眺めていると、その奥に確かに景色や気配が感じられてくるのが不思議です。

海を描いた作品では、水平線を切り取るような大きな色面が広がり、その中に微妙な光のゆらぎが潜んでいます。人物を描いた作品も、顔の細かな描写はないのに、立っている人の重みや影がふわっと伝わってきます。

彼の絵の前に立つと、色の響き合いがそのまま感情みたいに流れ込んでくるようで、ただの抽象画とは違う深い人間味があると感じました。混じり合う色の間に、遠い記憶や小さな希望のようなものが見え隠れするのが、ド・スタールらしい魅力なのかもしれません。

 

ニコラ・ド・スタールの絵の特徴とは?

 

ニコラ・ド・スタールの絵の大きな特徴は、色を厚く塗り重ねた力強い表現にあります。塗膜がゴツゴツと盛り上がったように見える作品も多く、まるで画面そのものが呼吸しているようです。

彼の使う色は大胆で、青なら深く冷たい海のような青、赤なら血が通っているような温度を感じる赤という具合に、一色一色が強い存在感を放っています。けれども決して荒々しいだけではなく、静けさや優しさも共存しているのが不思議なところです。

また、形をはっきり描かない抽象的な構成でありながら、光の方向や空気の重さのようなものが感じ取れるのもド・スタールの絵ならではです。色と形の境界を曖昧にしつつ、絵の中に確かなリズムを生み出しているところに、彼らしい独自性が強く表れています。

こうした特徴が重なり、観る人によってまったく違う景色を見せてくれる奥行きの深さにつながっているのだと思います。

 

最後に

 

ニコラ・ド・スタールの作品には、華やかさや派手さだけでは語れない静かな情熱が宿っているように感じます。孤独な幼少期を経験しながらも、色や光に向き合い続けた彼の生き方は、絵そのものに凝縮されていると言えます。

僕自身、彼の作品を見ていると、自分の内側の小さな感情がふっと浮かび上がってきたり、心が落ち着いたりすることがあります。何かを強く訴えるわけではないのに、優しく寄り添ってくれるような不思議な力があるのだと思います。

これからも、機会があればド・スタールの絵をじっくり眺めてみたいですし、その度に違う気持ちが生まれるような気がしています。彼の作品は、忙しい毎日の中で立ち止まるきっかけをくれる存在として、これからも多くの人の心に残り続けるのだと思います。
 
 
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