画家ジョルジョ・ヴァザーリ。今回は、生い立ちや絵の特徴をまとめてみました。それではいってみましょう。
ジョルジョ・ヴァザーリの生い立ちとは?
最近、美術に少しずつ興味を持ち始めた素人の私が、ある日ふと出会った名前、それが「ジョルジョ・ヴァザーリ」でした。絵の世界ではあまり聞き慣れないかもしれませんが、美術の歴史においてはとても重要な人物なんです。
というのも、彼は画家であり、建築家であり、さらに美術評論家でもあったという、多才なルネサンス人だったからです。
ヴァザーリは1511年、イタリアのアレッツォという町で生まれました。トスカーナ地方にあるこの町は、当時から文化的な香りのする場所で、彼の創造力に大きな影響を与えたようです。
若い頃から才能を発揮して、フィレンツェに出て美術を学びました。フィレンツェといえば、あのミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチも活躍した芸術の中心地ですよね。そんな街で修行したヴァザーリは、自然とルネサンスの精神を吸収し、やがて宮廷でも活躍するようになります。
ただ、彼が本当に有名になったのは絵というよりも、本を書いたこと。『芸術家列伝(Vite)』という、当時の画家たちの伝記をまとめた本を書いたことで、「美術史の父」とも呼ばれるようになりました。でも、今回はその「画家ヴァザーリ」としての一面に注目したいと思います。
ジョルジョ・ヴァザーリの絵とは?
ヴァザーリの絵は、正直なところ「すごく有名」というわけではありません。ミケランジェロやラファエロのように名画が世界中に飾られているというタイプの画家ではないんです。でも、ちゃんと彼の作品を見ると、「あ、これはこれで面白いな」と思わせてくれる魅力があります。
たとえば、「聖ルカとマリア」という作品があります。これは、キリスト教の聖人である聖ルカが聖母マリアを描いている場面を描いたもので、ちょっとメタ的な構図なんです。
画家が聖人を描き、その聖人がまた絵を描いているという、なんとも不思議な入れ子構造のような作品。こういった発想って、今の現代アートにも通じる面白さがあると感じました。
他にも、ヴァザーリは天井画や壁画も多く手がけました。特に有名なのは、フィレンツェのヴェッキオ宮殿の「五百人広間」の装飾です。
広間全体に渡って描かれた歴史画は、とにかくスケールが大きくて圧巻。彼は単に「一枚の絵を描く」だけでなく、空間全体をキャンバスとして捉えていたんですね。
ジョルジョ・ヴァザーリの絵の特徴とは?
ヴァザーリの絵の特徴を一言でいうと、「計算された構成美」と「物語性」だと思います。彼の作品は、構図がとても緻密で、人物の配置や視線の流れが綿密に考えられている印象があります。
どこを見ても無駄がない。背景にも意味が込められていたり、人物一人一人のポーズにもメッセージがあったりと、見れば見るほど「計算されているなあ」と感じるのです。
そして、もうひとつの特徴が「物語性」。これは彼が『芸術家列伝』を書いた文筆家でもあったからこそなのかもしれませんが、彼の絵にはストーリーがあります。
たとえば宗教画なら、ただ聖人を描くのではなく、その人物の人生や苦悩、奇跡といったエピソードが一枚の絵の中に凝縮されている感じです。
また、彼の人物画はどこかドラマチックで、ルネサンス後期のマニエリスム的な要素も感じます。
マニエリスムとは、簡単に言えば「わざと誇張されたポーズ」や「不自然なまでに理想化された身体」が特徴の様式で、ヴァザーリの作品にもそういった傾向が見られます。これが現代の目で見ると逆にユニークで、クセになる魅力があるんです。
最後に
正直、初めて見たときは「ちょっと古臭いかな?」と思ったのですが、知れば知るほど味が出てくる、そんなタイプの画家だと私は思います。派手さはないけれど、絵の奥にある知性や歴史への眼差しを感じることができて、静かに心に響いてくる作品ばかりです。
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