今日も車椅子を動かしながら、静かに美術書をめくっていました。何百年も前の画家なのに、まるで昨日描かれたばかりのように、鮮やかで、空気まで明るくなるような絵に出会うと、心がふっと軽くなる感覚がします。
そんな瞬間に、気づけば前のめりになって、じっくりと色の流れを追いかけています。今回紹介したいのは、イタリアが誇る幻想の巨匠、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ。
ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの生い立ちとは?

ティエポロは一六九六年、ヴェネツィアに生まれました。水の都で育った彼の目には、光が踊る風景がいつも映っていたのだろうと、私は勝手に想像しています。若い頃から絵の才能を見せ、十代のうちに工房に入り、そこで本格的に修行を始めました。
裕福な家庭というわけではなく、努力を重ねながら、絵の腕一本で道を切り開いていった人です。簡単な環境ではなかったはずですが、彼は自分の光を信じて、どんどん前へ進んでいったのだと思います。そんな姿勢が、今の私にも勇気をくれます。
ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの絵とは?
ティエポロの作品と向き合うと、空が広がっていくような錯覚を覚えます。宗教画が多いのですが、重くかしこまった雰囲気よりも、解き放たれるような明るさが先に来ます。
神々や天使がふわっと浮かび上がり、衣のひだが風に揺れているのが見えるようです。壁画や天井画を多く手がけ、巨大な空間を、まるで光そのものが描いたような風景に変えてしまいました。
現実の天井が高くなくても、絵を見るだけで心が伸び上がっていく感じがします。私は初めて見たとき、空気まで澄んで感じたほどです。
ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの絵の特徴とは?
ティエポロの特徴は、なんといっても光の使い方です。白やクリーム色が柔らかく広がり、そこに青や赤が透明に重なります。色が厚く塗られているというより、空気ごと染まっているような軽やかさ。人物の表情も、苦悩より希望を描いているように見えます。
たとえ宗教的な厳しさを含むテーマでも、救いの方向へと導いてくれるのです。筆のタッチは軽快で、雲の輪郭も、衣の影も、どこか風が通り抜けていくよう。大げさでない優雅さが、そこにあります。
車椅子に座る私でも、その世界に吸い込まれて一緒に浮かんでいるような心地になるのです。
最後に
ティエポロの絵を見ていると、人生がどんな日でも、光は必ずどこかにあると教えられる気がします。落ち込んだ日にも、うずくまる時間が長い日にも、画面いっぱいの明るさが、前向きな気持ちをそっと押し出してくれます。
過去の芸術が、今を生きる私たちの心を動かす。そのつながりを感じると、時代や身体の状況を超えて、自由になれるようで嬉しくなります。あなたももし、少し疲れたときがあれば、ティエポロの世界をのぞいてみてください。光と風が、そっと寄り添ってくれるはずです。
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