画家シュザンヌ・ヴァラドン。今回は、生い立ちや絵の特徴をまとめてみました。それではいってみましょう。
シュザンヌ・ヴァラドンの生い立ちとは?
パリのモンマルトルという、芸術の香りに満ちた場所に生まれたシュザンヌ・ヴァラドンは、1865年に庶民の娘としてこの世に登場しました。彼女の本名はマリー=クレマンティーヌ・ヴァラドン。
母親は洗濯婦で、父親は不明という、決して裕福とはいえない環境で育ちました。学校も長くは通わず、早くから働き始め、サーカスで曲芸をしていた時期もあったとか。
そんな彼女が芸術の世界に足を踏み入れたのは、画家たちのモデルを務めたことがきっかけでした。彼女はロートレックやルノワール、ドガといった有名な画家たちの前でポーズを取りながら、少しずつ自分の中に眠る創作の炎に気づいていったのです。
シュザンヌ・ヴァラドンの絵とは?
シュザンヌ・ヴァラドンが自分の手で筆を取るようになったのは、20代半ば頃。彼女は決して美術学校に通ったわけではなく、全て独学。
まさに「見て覚える」「描いて学ぶ」という、実践型の学び方でした。最初は鉛筆やパステルを使ってデッサンをしていましたが、やがて油絵にも取り組むようになります。
彼女の描いた題材は主に女性のヌード、肖像画、静物、花など。身近な人をモデルにすることが多く、自分の息子である画家のモーリス・ユトリロもよく題材になっていました。
ヴァラドンの作品には、当時の女性画家には珍しく、力強さや大胆さがありました。可憐さや上品さよりも、「人間らしさ」や「肉体の重み」が前面に出ているような印象を受けます。
シュザンヌ・ヴァラドンの絵の特徴とは?
ヴァラドンの絵は、色使いが非常に鮮やかです。明るい赤、深い青、そして時には少し鈍い茶色やグレーなど、感情の波をそのまま色にしたようなパレットを使っています。
また、輪郭線がしっかりしていて、デッサン力の高さもうかがえます。これはモデル時代に観察力を磨いた結果なのかもしれません。
そして何より注目すべきは、彼女が女性の身体をどう描いたか。一般的な男性画家が描くような「理想化された美しさ」ではなく、日常の中にある現実の身体、つまりシワや重み、柔らかさ、時にだらしなさまでも描き出しています。
そこには「女性が女性を描く」という、新しい視点がありました。これは現代のフェミニズム的な視点から見ても、非常に先進的だと思います。
また、彼女の静物画も個性的です。果物や花瓶など、何気ないものが彼女の手にかかるとどこか生き生きとし、不思議と心に残る絵になります。大胆な構図と、空間のバランスの取り方が秀逸で、素朴ながらも印象的な画面を作り出しています。
最後に
シュザンヌ・ヴァラドンの絵は、観る人によって印象が大きく変わるかもしれません。「美しい」と感じる人もいれば、「少し怖い」と感じる人もいるかもしれません。でも、そこにあるのは間違いなく彼女自身の視点であり、彼女の生き方そのものです。
モデルから画家へ、そして社会の枠にとらわれず自分の道を切り開いたヴァラドン。彼女の作品は今でも世界中の美術館で展示され、多くの人の心を動かしています。
私自身、最初は「ちょっと昔の女性画家」くらいの認識でしたが、実際に絵を見てみると、その奥深さと力強さに圧倒されました。表面をなぞるだけではわからない、「生き様」が絵の中にしっかりと息づいているんです。
これから美術館で彼女の作品に出会ったら、ぜひ少し立ち止まって、その色と線の一つひとつを味わってみてください。そこには、シュザンヌ・ヴァラドンという一人の女性の、強くて自由な魂が宿っているはずです。
まっつんの絵購入はコチラ ⇒ https://nihonbashiart.jp/artist/matsuihideichi/
コメント