北欧の光というのは、不思議と人の心を落ち着かせるような柔らかさがあります。私が絵を見て癒やされる理由の一つは、そんな自然の明るさが持つ静けさにあるのかもしれません。
車椅子生活になってから、外の空気に触れる時間が減ったせいか、絵画の中の風景に、以前よりも強く惹かれるようになりました。そんな中で出会ったのが、ノルウェーの画家エーリック ヴァーレンショルドという人物でした。
名前だけを聞くと、どこか神話に登場する英雄のようですが、彼が残した作品には、北欧の風景が持つ奥深さと静寂が宿っているように感じます。ヴァーレンショルドの絵を見た最初の印象は、色彩の優しさでした。
海や空、雪景色など、冷たいイメージが強い北欧の自然を描いているにもかかわらず、彼の筆致からは穏やかさや温もりが感じられます。それはきっと、彼自身の生き方や、幼い頃から見てきた景色が関係しているのだと思います。
この記事では、そんな彼の生い立ちから作品の特徴まで、私なりの素直な言葉で書いていきたいと思います。
エーリック・ヴァーレンショルドの生い立ちとは?

エーリック ヴァーレンショルドはノルウェーで生まれ、兄とともに幼い頃から絵や美術に親しむ環境で育ちました。北欧の自然は四季がはっきりしていて、夏は白夜、冬は厳しい寒さと深い雪に包まれます。
その両極端ともいえる自然の変化は、子どもの感性にも強い影響を与えたのではないでしょうか。私は、彼の作品を見ていると、自然との距離が近い生活がそのまま絵の中に息づいているように思えます。
ヴァーレンショルドは若い頃から美術学校で学び、ヨーロッパを巡りながら技術を磨いていきました。ただ才能があるだけでなく、努力家でもあったのでしょう。絵に向き合う時間を積み重ね、表現方法を探求し続けた姿勢は、多くの画家たちと同じように彼の基盤となったはずです。
彼は肖像画や挿絵の仕事も手がけるようになり、ノルウェー国内で徐々に知られる存在へと成長していきました。私としては、この「挿絵」という仕事が彼の感性をさらに広げたのではないかと感じています。
限られた紙面で物語の情景を伝えるためには、細やかな描写力や観察力が必要です。それが後の風景画にも丁寧な表現として活きているように思えるのです。
エーリック・ヴァーレンショルドの絵とは?
ヴァーレンショルドの絵は、派手さはありませんが、落ち着いた深みがあります。強いコントラストや、視線を刺激するような色づかいではなく、静かに心に沁みこんでくるような佇まいが特徴です。
私が初めて見た作品は、海辺の風景を描いたものだったのですが、暗い海と空が重なるような場面でも、何となく安心感がありました。
すごく不思議な感覚で、冷たい海風が身にしみるような情景なのに、孤独ではなく、どこか温度を感じるのです。これは、ヴァーレンショルド自身が北欧の厳しさの中で暮らし、その自然と共に生きてきたからこそ描ける光なのだと思います。
また、人物画にも彼らしさがあります。華やかに描き込むというよりも、表情の奥にある静かな感情を引き出すような描き方で、見る側にそっと寄り添うような雰囲気が漂います。
私はこういう絵を見ると、まるでその人と同じ空気の中にいるような感覚になり、しばらく目が離せなくなります。
エーリック・ヴァーレンショルドの絵の特徴とは?
ヴァーレンショルドの絵には、大きく三つの特徴があると私なりに感じています。一つ目は、色彩の自然さです。派手ではないのに、印象に残る色の重なりは、北欧の自然光を忠実に再現しているようで、どの作品にも柔らかな光が宿っています。
二つ目は、筆致の静けさです。激しく塗り込むようなタッチは少なく、どちらかと言えば穏やかで丁寧です。この筆使いが、彼の絵に安らぎをもたらしているのだと思います。
三つ目は、余白の活かし方です。絵の中に無理に物語を詰め込みすぎることなく、見る側が自由に想像できる空間が残されています。その余白は、まるで静かに呼吸しているようで、見ている私たちに心地よい余裕を与えてくれます。
この三つの特徴を持つ絵だからこそ、ヴァーレンショルドの作品は何度見ても飽きることがありません。それどころか、見るたびに新しい気づきが生まれ、疲れた心に優しい光を届けてくれるように思えます。
最後に
エーリック ヴァーレンショルドの絵を知ったことで、私は北欧の風景が持つ別の一面に気づきました。寒さや静けさに包まれた土地だからこそ、そこに暮らす人々は温かさを求め、自然の光をより深く感じていたのかもしれません。
そしてその感性が、彼の絵となって今も私たちの心に届いているのだと思います。
日々の生活の中で、ふと心が重たくなる時があります。そんな時、ヴァーレンショルドの絵に触れると、ゆっくりと深呼吸できるような安心感に包まれます。私にとっては、気持ちを立て直すためのひとつの居場所のような存在です。
この記事が、誰かにとっても彼の作品へ興味を持つきっかけになれば嬉しいです。静かな北欧の光をまとった彼の絵は、きっとあなたの心にも穏やかな時間を届けてくれるはずです。
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