子どものころ、僕は空を見上げて、そこに架かる雲の形から、知らない世界を想像してばかりでした。車椅子の生活になってからも、その癖は変わらず、むしろ、空想の世界に助けられる日が増えました。
そんな僕が長年惹かれてやまない人が、ロジャー・ディーンという画家です。彼の絵を初めて見た瞬間、ここじゃないどこかに、確かに世界が続いているんだと、本気で信じました。
岩が浮かび、建物が自然と溶け合い、空は深く、光は音を持っているような、そんな不思議な景色。現実からちょっとだけ離れたい時に、ふっと寄り添ってくれるような優しさと、堂々としたファンタジーの力が宿っています。
ロジャー・ディーンの生い立ちとは?

ロジャー・ディーンは、1944年にイギリスで生まれました。幼い頃から自然や空間デザインに強い興味があり、やがて王立芸術学院で学びます。そこで建築やインテリア、そして立体的なデザイン感覚を身につけました。
だから彼の作品には、ただ絵を描くだけじゃなく、空間ごと創り出す視点が宿っています。建物を描く時も、そこに住む人の気持ちや、風が通り抜ける道筋まで想像していたんじゃないかと思うほど、余白の中に広がりを感じます。
僕自身、車椅子で家のレイアウトに敏感になったこともあり、彼の「機能と夢の両立」みたいな感覚に深く共鳴します。
ロジャー・ディーンの絵とは?
ロジャー・ディーンと言えば、プログレッシブロックバンドのアルバムジャケットで有名ですよね。特にバンドのイエスやエイジアのカバーは、音楽ファンなら一度は目にしたことがあると思います。
あの、岩が空に浮かぶ風景や、巨大な門のような建造物、うねる大地と澄んだ空気。見るだけで曲の音が流れ出すような、そんな視覚と音が溶け合った世界。僕は、あの青く広い空間に、何度心を飛ばしたことか。
車椅子で遠くへ行けない日でも、彼の絵を眺めると、どこまでも滑らかに進める気がして、気持ちが軽くなるんです。
ロジャー・ディーンの絵の特徴とは?
ロジャー・ディーンの絵には、自然と建築が一体化した独特の造形があります。彼が描く岩や木は、ただ存在しているだけでなく、そこに意思があるように見える。曲線が多く、角ばった怖さがなく、なのに巨大で圧倒的。
光は柔らかく、でも遠くの世界を呼ぶような強い輝きを持っています。それに、色の透明感がすごい。青は深く、緑は生命力に満ち、黄や白は風の温度まで感じさせます。
まるで大自然が息をして、こちらに「大丈夫、まだ旅は続くよ」と言ってくれるみたいです。僕にとって彼の世界観は、物理的な距離も不自由も関係なく、心をどこへでも運んでくれる翼です。
最後に
ロジャー・ディーンの絵を見ていると、現実が狭く感じた日でも、心にはちゃんと広い場所があると気づかせてくれます。夢を見てもいい、空想していい、今いる場所からだって世界は続いている、そんな優しいメッセージが絵の奥から響いてくるんです。
僕はこれからも、彼の風景の中で何度だって旅に出るでしょう。読んでくださったあなたにも、忙しい毎日のほんの一瞬でも、空を見上げて深呼吸する時間が巡りますように。
そして、新しい世界が心の中に芽生える瞬間、その小さな光を大事にしてほしいです。ロジャー・ディーンの世界は、きっとあなたの想像力にもそっと寄り添ってくれます。
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