最近、ベネチア関連の画家を調べていたら「ヴィットーレ・カルパッチョ」という名前に出会いました。正直、最初は「カルパッチョってあの料理?」と笑ってしまったけれど、実はその料理名の由来になったほど有名なルネサンス期の画家だったんですね。
車椅子で家にいる時間が長い私にとって、ネットで名画をゆっくり眺めながら調べる時間は小さな旅のような楽しみです。
今回はそんなヴィットーレ・カルパッチョの生い立ちから、どんな絵を描いたのか、絵の特徴や魅力をできるだけ素人目線で語ってみたいと思います。あくまで絵の専門家ではなく、一人の車椅子ユーザーの素人ブロガーが書いているので、気楽に読んでもらえたら嬉しいです。
ヴィットーレ・カルパッチョの生い立ちとは?
ヴィットーレ・カルパッチョは、おおよそ1465年頃、イタリアのヴェネツィアで生まれたとされています。ルネサンスのまっただ中、ヴェネツィアが海洋貿易で栄えていた時代で、街の空気はきっと活気があり、建物には壮麗なゴシックやルネサンスの装飾があふれていたのでしょう。
カルパッチョの生い立ちについては正確な記録が少なく、父親が何をしていたのかなども詳細は不明ですが、当時のヴェネツィアでは画家や職人の子供が同じ職を継ぐことが多く、カルパッチョも自然に絵画の世界へ入っていったのかもしれません。
絵画の師匠についても、ジェンティーレ・ベリーニに影響を受けたという説があります。ベリーニ家は当時のヴェネツィアで有名な画家一族で、カルパッチョはそのスタイルを学びながら、自分の色彩感覚と物語性豊かな絵を作り上げていきました。
カルパッチョが活動していたのは15世紀末から16世紀前半にかけてで、ヴェネツィアのスコルヴェニ礼拝堂やサン・ジョルジョ・デッリ・スキアヴォーニ同信会館など、多くの宗教施設で装飾画や連作絵画を残しています。
ヴィットーレ・カルパッチョの絵とは?
カルパッチョの絵で有名なのは「聖ウルスラ伝説の連作」や「聖ゲオルギウスとドラゴン」など、物語性のある宗教画です。これらの作品群は現在ヴェネツィアのアカデミア美術館などで見ることができます。
「聖ウルスラ伝説の連作」は特にカルパッチョの代表作として知られており、聖ウルスラとその従者たちの旅立ち、夢のお告げ、異教徒との戦い、殉教といった場面を複数枚の絵で描いています。
それぞれの絵に細かな日常の描写があり、当時のヴェネツィアの街並みや人々の服装、生活が感じられるのが面白いポイントです。
また「聖ゲオルギウスとドラゴン」では、ドラゴン退治の劇的な瞬間を描きながら、背景には壊れた建物、散らばる遺体、ドラゴンの姿が細密に描き込まれ、恐ろしい場面でありながら装飾性の高い美しさも同居しています。
私自身、ネットで画像を拡大して見ていると、「この細部を手で描いたのか…」と息をのむことがあります。
ヴィットーレ・カルパッチョの絵の特徴とは?
カルパッチョの絵の特徴は「細部まで描き込まれた写実性」と「ストーリー性の強い場面構成」にあります。
当時のルネサンス期の画家たちは、パースペクティブ(遠近法)や解剖学的な人体表現の研究を進めていましたが、カルパッチョの絵は技術的な遠近法だけでなく、人物たちの表情や仕草がとても豊かで、まるで映画のワンシーンを切り取ったかのような感覚があります。
また、色彩も鮮やかで、赤や青、金色が画面に調和するように配置され、見る人を引き込む力があります。聖人の絵といっても重苦しさより「人間らしさ」を感じさせる明るさがあり、宗教画なのにどこか親しみが湧くところがカルパッチョ作品の魅力だと個人的には思います。
さらに背景には当時のヴェネツィアの港や建物、船、装飾が詳細に描かれ、絵を見るだけで当時の街並みを旅しているような気分になれるのが嬉しいポイントです。特に車椅子生活で旅行がなかなかできない私にとっては、絵の中で異国を感じられる時間がかけがえのない小さな旅なのです。
最後に
ヴィットーレ・カルパッチョという画家を調べて書いてみて思ったのは、「歴史上の画家の絵は、決して古臭いものではなく、今を生きる私たちにさえも小さな楽しみや発見をくれるものだ」ということです。
カルパッチョの作品は、色の美しさや人々の表情、当時の生活風景の細やかな描写を通じて、絵画の中で時代を越えた物語を感じることができます。
もし少し疲れたとき、時間のあるときにネットで「Vittore Carpaccio」と検索して画像を眺めてみてください。きっと絵の細かさや鮮やかさ、物語の豊かさに引き込まれるはずです。
私自身、いつかヴェネツィアに行ける日が来たら、カルパッチョの絵が展示されているアカデミア美術館で本物をこの目で見たいなと思っています。それまでは家でネット美術館を楽しみながら、ゆっくりと絵を旅する時間を続けたいです。
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