「花の絵なんて、ただの静物画でしょ?」そんな風に思っていた私の目を、ぐいっと開かせたのが、ジョージア・オキーフという画家でした。最初に出会ったのは、美術館の一角に飾られていた、あまりにも大きな赤い花の絵。
その絵は、ただの植物ではなく、まるで誰かの感情をむき出しにしたかのように、圧倒的な存在感を放っていました。絵の前からしばらく動けなくなった私は、帰宅後すぐに「ジョージア・オキーフ」という名前を検索し、彼女の人生にどっぷりとハマってしまったのです。
今回は、そんな私が感動したジョージア・オキーフの生涯や作品の魅力を、素人なりに語ってみたいと思います。もし少しでも彼女に興味を持ってもらえたら嬉しいです。
ジョージア・オキーフの生い立ちとは?
ジョージア・オキーフは1887年、アメリカ・ウィスコンシン州の広大な農場で生まれました。7人兄弟姉妹の2番目として育ち、自然に囲まれた生活が、彼女の感性の基盤になったと言われています。
意外かもしれませんが、都会ではなく牧場のような環境で育ったことが、のちにあの有名な「大地」や「花」のモチーフにつながっているんですね。
子どもの頃から絵を描くことが大好きだった彼女は、しっかりとした美術教育を受けるためにシカゴやニューヨークへと進学します。ですが、アカデミックな美術教育に少し息苦しさを感じ、独自のスタイルを模索するようになります。
そんな中で、カンディンスキーやステーグリッツといった前衛的なアーティストたちの影響を受け、自分の内側にある感覚や情熱を「形」として表現することを目指していくのです。
1916年には、のちに夫となる写真家アルフレッド・スティーグリッツに作品が認められ、彼のギャラリーで個展が開かれたことをきっかけに、彼女の名はニューヨークのアートシーンで一気に知られる存在となっていきます。
ジョージア・オキーフの絵とは?
ジョージア・オキーフの絵といえば、まず思い浮かべるのが「花」の絵ではないでしょうか?でも、彼女の花の絵は、一般的な静物画とはまるで違うんです。とにかく大きい。画面いっぱいに拡大された花びらは、まるで人間の感情や魂を映しているかのような力を持っています。
彼女は、「人々が花を見る時、本当の姿を見ていない」と語っています。だからこそ、花の中にある微細な美しさ、豊かな曲線、力強い生命感を、あえて極端に拡大して描いたんだと思います。
そしてもう一つ、彼女の絵で印象的なのが「骨」と「砂漠」。特にニューメキシコに移り住んでからは、乾いた大地に転がる動物の頭骨や、荒野の風景をモチーフにした作品が多くなります。
一見すると不気味なようでいて、でもその中には不思議な静けさと崇高さがあって、「死」や「時間の流れ」をも超えた何かに触れている気がするのです。
ジョージア・オキーフの絵の特徴とは?
オキーフの絵の特徴を一言でいえば、「拡大された存在感」と「静けさの中の強さ」。特に色彩の使い方が見事で、赤、青、白などのシンプルな色合いを、重ねたりグラデーションで変化させたりすることで、深みのある表現をしています。
また、曲線美も印象的。花びら、砂丘、骨――どれも線が滑らかで流れるようで、でもどこか芯が通っている。これは彼女の内面の強さを反映しているのかもしれません。
実際、彼女は「女性として」「アーティストとして」自分の意志を貫き通した人で、時代に迎合せず、独自の表現を極めていきました。
さらに言えば、彼女の絵には「沈黙」があります。うるさくない。主張しすぎない。でも、確かにそこに在る――そんな存在感。だからこそ、どこか瞑想的な気持ちにさせられるんでしょうね。
私は体が不自由で移動が制限されることも多いんですが、オキーフの絵を見ていると、遠くの大地や深い精神の世界へ、ふっと旅に出たような気持ちになれるんです。
最後に
ジョージア・オキーフの絵は、ただ「美しい」だけではありません。その奥には、自然へのまなざし、自分自身との対話、そして時を超えて訴えかけてくる魂の叫びのようなものがあります。
私は今でも、彼女の描いた大きな花を見るたびに、何かに「見つめ返されている」ような気がしてドキッとします。
アートというのは、技術や流行だけじゃなく、その人自身の人生や価値観が滲み出るものなんだな、とオキーフを通して学びました。もしこの記事で少しでも興味を持たれた方がいたら、ぜひ一度、彼女の作品に触れてみてください。
そして、その絵の中にある「静かな声」に耳を傾けてみてください。きっと、自分の中にある何かが動き出すはずです。
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