画家ヨゼフ・アルバース!生い立ちや絵の特徴を書いてみた。

あ行

 
 
画家のヨゼフ・アルバース。今回は、生い立ちや絵の特徴をまとめてみました。それではいってみましょう。

 

 

ヨゼフ・アルバースの生い立ちとは?

 
ヨゼフ・アルバース(Josef Albers)は1888年3月19日、ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州ボットロップに生まれました。彼は幼少期から工芸や美術に関心を持ち、木工職人としての訓練を受けた後、ベルリンやエッセンの学校で芸術教育を受けます。

1920年にはドイツの美術とデザインの総合教育機関であるバウハウスに入学し、そこで彼の芸術的人生が大きく開花します。アルバースはその幾何学的な感覚と職人としての実直さが高く評価され、1925年にはバウハウスが正式な大学となった際、教授に任命されました。

バウハウス時代の彼は、金属工芸やデザインの分野で数々の実験的な作品を制作し、機能美と芸術の融合を目指しました。
 
 
1933年、ナチス政権の台頭によってバウハウスが閉鎖されると、アルバースは妻アニとともにアメリカへ移住。ノースカロライナ州のブラック・マウンテン・カレッジで教鞭をとり、若き芸術家たちに大きな影響を与えました。

さらに1950年からはイェール大学で教え、色彩理論と視覚芸術の教育に尽力しました。彼の教育哲学は、単なる技術の伝達ではなく、「見ることを学ぶ」ことに重きを置き、視覚認識の深層に迫るものでした。

アルバースは1976年に逝去しますが、その教育者としての功績と芸術家としての業績は、現代美術史に深く刻まれています。

 

ヨゼフ・アルバースの絵とは?

 

ヨゼフ・アルバースの作品は、シンプルでありながら深い哲学を内包した抽象絵画が特徴です。彼の代表作といえば、やはり「Homage to the Square(正方形へのオマージュ)」シリーズでしょう。

このシリーズは1950年から彼が亡くなるまでの約25年間、一貫して制作され続けました。各作品は異なるサイズと色彩の正方形が中央に配置され、四重、三重の層をなして描かれています。

一見単純な構図でありながら、色の組み合わせや配置によって、観る者の視覚に強烈なインパクトを与え、色彩がどのように知覚されるかを実験的に示しています。
 
 
このシリーズは、単なる幾何学模様の連作ではなく、アルバースが追求した「相互作用としての色彩」の理念を具現化したものです。彼は絵の具の物理的な色ではなく、人間が色をどう知覚するかに関心を持ち、「色は常に相対的である」という信念のもと、錯視的な効果を駆使して視覚体験を誘導します。

作品ごとに色彩の選択は微妙に異なり、観る角度や周囲の光によっても印象が変化するため、鑑賞者は常に新たな発見を味わうことができます。


 
 

ヨゼフ・アルバースの絵の特徴とは?

 

ヨゼフ・アルバースの絵の最大の特徴は、「色彩の相互作用」にあります。彼の作品は極めてミニマルでありながら、色と形の関係性を追求する実験場のような性質を持っています。特に「正方形へのオマージュ」シリーズでは、正方形という最も安定した形態を用いることで、色彩そのものの表情が前面に押し出されています。

各作品は、一つひとつがまるで異なる生命を持ち、単純な幾何学的構成が、色彩の組み合わせによって無限のバリエーションを生み出します。
 
 
また、アルバースは「色の魔術師」とも呼ばれ、同じ色が周囲の色によってまったく異なって見える現象を作品内で巧みに利用しました。例えば、ある作品では内側の正方形が外側の色に溶け込むように見え、また別の作品では中心の色が鮮烈に浮かび上がるように見えます。

これはアルバースの深い色彩理論の成果であり、視覚芸術における「錯覚」の巧妙な応用です。
 
 
さらに、彼の作品は制作過程においても緻密さが求められ、色面は刷毛の跡が残らないよう均一に塗られています。その結果、絵の表面は一種の「工業製品」のような無機質な印象を与えますが、その裏側には人間の知覚への鋭い洞察が隠されています。

アルバースの作品は、アメリカのオプ・アートやミニマルアートの発展にも大きな影響を与え、彼が築いた「色彩と形態の詩学」は、今なお多くの芸術家たちにインスピレーションを与え続けています。

 
 

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